楽譜から情報を正しく読もう
夜の二胡教室2023年5月30日の内容まとめです。
6月18日に実施するオンライン発表会で演奏する曲を題材に、
楽譜から情報を正しく読もう
という話をしています。
運指からポジション移動を読む
例えば「いそしぎ(The Shadow of Your Smile)」といった楽曲は、当然ながら二胡の都合など一切考えずに作られています。
変則的なメロディはとても素敵ですが、二胡で演奏するには、少し複雑な運指が必要です。
楽譜には、「運指とポジションをどのようにするのか」が記載されています。
今から取り組む楽譜では、どのように演奏することになっているのかを、弾く前にきちんと読み取っておかないと、
間違った弾き方を練習することになったり、辻褄があわなくて一部無理やり弾いてごまかすことになり、今後使えないテクニックを練習してしまうことになりかねない。
ビブラートや装飾を考える前に、まずは
ポジション移動の境界線
を正確に引きましょう。上の画像の縦赤線がそうです。
ポジション移動は、必ず音と音の間で起こります。
どこでポジション移動することになっているのかをきちんと把握し、そこ以外では絶対にポジション移動しないというのが大事。
楽器を演奏することはとても大変なことなので、「やらなくていいことをやらない」と徹底していくことが、練習のカギになります。
慣れない調や複雑な演奏から、ポジション移動を正しく読むことはちょっとむつかしいですが、
これを助けてくれるのが「七つのフォーム」。
二胡は、すべての調すべてのポジションを7つのフォームの組み合わせで演奏しています。
今、自分がどのフォームで演奏しているのかを把握していることは、演奏行動をわかりやすくするために大切な考え方だと思っています。
毎回、いきあたりばったりに音を探して探して探して…という演奏から抜けるために、自分の演奏の無駄を省くために、こういった視点も必要です。
長調運指と短調運指
二胡で扱う数字譜は、
音楽を長音階だけで読む
という、ちょっと割り切った仕組みを持つ記譜法です。
D調、G調、F調…という二胡で学ぶ指使いは、どれも長音階のみ。
二胡だけを演奏するときには、「いまは長調?短調?」ということを考えないで、一応弾けることになっています。
大阪ラプソディという曲は、短調です。
この曲を、二胡で一番難易度低く演奏できる調は、いわゆる「F調」です。
しかしながら、この曲を一般的なF調の指使いで弾くと、弾けないことはないけど、とてもやりにくく感じることがあります。
演歌など、「短調らしい短調の曲」を弾くときには、
伝統的な二胡の「長音階運指で短調を弾く」のではなく、
「短調運指で短調を弾く」
ほうが、しっくりくる場合があります。
例えばD調で。
左が長調運指(メジャー)、右が短調運指(マイナー)です。
長調が、二胡奏者が親しみのある、いわゆる「D調」運指。
長調と短調の音の違いは、3,6,7、の音が半音低いこと。
そのように音をずらしたのが、右の短調運指です。
これは、そうするべきだ、というのではなく、僕はそうしている、という話なので、皆さんにオススメすることではないです。
楽曲によって、運指を選べるようにしておくと、表現の選択肢が増えます。
上の大阪ラプソディに書いてある運指は、このDマイナー運指で弾いているのを、
F調の指使いで表記してあります。よくあるF調の指使いではないことが、やってみるとわかります。
「D調の3,6,7が半音低い」指使いになってる…と弾いている本人は思っています。
そうすると、短調の曲も、ちゃんと「1」の主音に帰ってきて曲が終わります。気持ちいい!
ちょっとややこしいですね…参考までに。
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